運命は何色ですか
注意:至♀/綴万、至→臣、臣↔女子生徒要素あり
高校生パロ
休日の電車は空いている。子供連れの若い夫婦や部活のユニフォームを着た学生がまばらに乗っているだけだ。
弁当の温みを膝に感じながら、至は先ほどの綴の言葉を頭の中で反芻した。
――運命の人は意外と近くにいる。
そんなことがあるだろうか。
臣に出会うまで、異性に興味を持ったことはほとんどない。恋愛に関しても全くの無関心ではなかったが、ゲームの世界にいるイケメンと会話できるだけで満足していた。かっこよくて、優しくて、気遣いができる完璧な男の子たち。たまに意地悪だけど、それは好きの裏返し。好感度をどうやって上げるか試行錯誤するのが楽しかった。
現実の恋愛も、もっと楽しいものだと思っていたのに。
予想に反して思い通りにいかないことばかりで、ゲームのように上手く物語を進めることができない。自分のステータスはマックスなのに、好感度を上げるチャンスがないのだ。これではどんなに頑張ってもクリアすることはできないだろう。
学校に到着すると、試合はすでに後半戦だった。掲示板の点数によると一対一の同点。相手校の学生や父兄も応援にきているらしく、グラウンドはかなり混雑している。自校の応援団に混ざるのはなんとなく気恥ずかしく、少し離れた場所で観戦しようとあたりを見渡すと、校舎の入り口に丞の姿があった。
どうしてあんな遠い所から応援しているのだろう。
サッカーが好きならもう少し近くで応援すればいいのに。
それに今日は部活があると言っていたはずだ。
声をかけるつもりはなかったが、丞がひとりでいるのが珍しくて気になってしまう。至はグランドに向かうのを足を止めて、丞がぽつんと立っている校舎へ方向転換した。
「丞、なにやってんの」
至の声に驚いたのか肩をびくっと上げて丞が振り向いた。
「茅ヶ崎……まさか、いま来たのか?」
「そのまさか。本当は来るつもりじゃなかったんだけど、綴ママに激励されまして。いや、パパかな?」
「よく分からんが、もっと近くで応援しなくていいのか。もう試合が終わるぞ」
丞の言うとおり試合は終盤戦で、激しいボールの取り合いが続いている。
選手たちが一斉に走って砂埃が舞う。夏の生温かい風にのって、丞と至が立っている場所にも細かい砂が飛んできた。
「……痛っ」
「どうした」
「目に砂が入った。やっぱコンタクトは駄目だ。痛い」
まぶたをこすると涙と一緒にコンタクトレンズも外れてしまった。掌に薄いレンズがぽとりと落ちる。
レンズが外れてじんわりとした痒みが広がった。どうしても我慢できなくて目を擦ると、
「慣れないことするからだろ。あんまり擦るな、赤くなってる」
瞳をのぞき込まれるように見つめられて、一瞬怯んでしまった。
顔が近い。
丞と目が合ったまま視線を逸らせないでいると、わあっとひときわ大きい歓声が起こった。
急いで鞄から眼鏡を取り出してグラウンドへ視線を戻す。
誰よりも背の高い選手がボールを持って、一気に走り出した。臣だ。
一人目をあっという間に抜いて、正面に立ちはだかる二人目もかわした。臣がゴールに近づく度に歓声が大きくなる。
「あれは入るな」
丞がそう呟いた瞬間、ボールは相手チームのゴールのど真ん中に入った。
「入った! 丞、入ったよ! すっげー!」
思わず叫んでしまった。臣の走りは、昔テレビで見たイルカみたいだ。海の中をがすいすいと自由自在に進みながら、気持ちよさそうに泳ぐイルカ。凄い。フィールドの端から端まであんなに速く走れるなんて、運動が苦手な至には到底無理だ。
「茅ヶ崎、素が出てるぞ」
「えっ。わ、マジか」
飛び跳ねるほど興奮していた至はようやく我に返った。しまった。丞が隣にいるからつい気が緩んでいた。生徒たちは試合に夢中でこちらには気がつかないだろうが、いつどこで誰が見ているか分からない。至はいつもの冷たい顔面を作るために深呼吸して、眼鏡の位置をなおす。
「あと、服を引っ張るな。痛い」
しかも丞のシャツを引っ張っていたらしい。ぎゅっと握ったところがしわしわの跡になっている。
「ごめん。あれ、今日は制服じゃないの?」
「ああ、今日は衣装合わせの日だ」
制服だと思っていたシャツはシルクのようにさらさらしている。よく見るとズボンもタイトな作りで、腰からのラインが強調されている。丞の体格の良さを存分に生かした衣装だ。そうだった。いつも側にいて慣れてしまっていたけれど、丞もかなりかっこいい部類に入る男子なのだ。
コンタクトが外れた際に近くまで迫った顔面を思い出して、なんだか胸のあたりがそわそわする。
あんな近くで丞の顔を見るなんて初めてだった。
そして、並んで立ってみて気づいたことがある。
「丞……また身長伸びた?」
「……二センチだけな」
丞が眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をした。
なにか気に障ることでも言っただろうか。腕を組んでグラウンドを睨んでいる。
紬なら丞の考えを察することができるが、至にそこまでのスキルはない。いつもは三人の真ん中に紬がいるから特に気にしたことはなかったが、こうしてふたりきりでいると、今までどうやって丞と会話をしていたのか分からなくなってしまう。
何が彼を怒らせてしまったのか。至が黙ったままでいると、どこか言い訳するように丞が言った。
「さっき衣装係にも同じこと言われてたんだ。身長を止めろだの、筋肉を減らせだの、採寸の度に言われて少し気が立ってた。別に怒ってないからな」
突っぱねた言い方で至が気分を害したとでも思ったのだろうか。慌てて少し早口になっているのが可笑しい。
無愛想っていうより不器用なのかも。そんなことを思っていると、もう一度大きな歓声がグラウンドに響いた。
試合が終わったらしい。臣のゴールが決勝点だった。選手も応援している観客も嬉しそうだ。応援団のなかにはあの子の姿も見える。
グラウンドに向かって、嬉しそうに手を振っている。それを見つけて笑顔を返す臣。
ああ、私の入る隙なんてないなあ、と妙に落ち着いた気持ちで二人を眺めていると、めいっぱい膨らんだ恋心がどんどん小さくなっていく気がした。
それでもあまり悲しくはない。
ちゃんとこうして応援に来れた。逃げなかったことを褒めてやりたいくらいだ。
「丞、お昼食べた? まだなら一緒に食べよ」
自分の気持ちに折り合いがつくとなんだか気が抜けてお腹が減ってしまった。せっかく作った弁当を無駄にするのはもったいない。何気なく丞に訊くと、
「伏見のために作った弁当を俺に食わせる気か?」
先ほどの何倍も嫌な顔をされた。
「無駄にするよりいいでしょ」
「お前なあ……」
呆れる丞を無視して正面玄関に向かう。
失恋してもお腹は減るし、眠くなる。日常は変わらず続いていくのだ。学校で皆の憧れる茅ヶ崎さんを演じて、家に帰ったらアニメを見て漫画を読む。綴の作る美味しいご飯を食べて、万里とゲームをして、紬と丞のよく分からない喧嘩に巻き込まれてうんざりしたりする。
運命の人がいなくたって、自分の人生はなんてことなく続いていくのだ。
来客用の玄関に靴を脱ぎ捨てて、まっすぐに並んでいる緑色のスリッパをひっかけて校内に入ると、ひんやりとして薄暗かった。
歩く度にパタパタと音がする。
誰もいない校舎を丞と並んで歩くなんて変な感じだ。丞は演劇部の衣装を着たままで、掲示板に張られている美化週間のポスターとのちぐはぐさが面白い。異世界の住人が急に現代にタイムトリップするラノベみたいだ。
「なんの役なの?」
「は?」
「次の舞台の衣装なんでしょ、それ。なんの役なのかなって思って」
シャツはシンプルな形だが、ところどころ刺繍が入っていてかなり凝った作りになっている。演劇部の衣装はすべて手作りだと紬が言っていた。毎公演、脚本に合わせて既存の衣装をアレンジしたり新調しているらしい。もちろんそれなりに費用がかかる。高校演劇にも全国大会があり、至の学校は毎年上位入賞するほどの強豪校で、毎年かなりの部費が下りている。その部費のほとんどが衣装代で飛んでいくそうだ。
「どんな役って言われてもな……いまここで演ってみるか」
「ここで?」
「ああ、誰もいないし大丈夫だろ」
丞が立ち止まってあたりをぐるりと見回す。休日の校舎は静まりかえって、窓から差し込むまばゆい光が廊下の床を四角く照らしている。
「茅ヶ崎ちょっとこっち向いてくれるか?」
丞に促されて正面で向かいあうと、目線がちょうど肩の位置だった。
シャツのボタンを開けている隙間から鎖骨が見える。
丞ってこんなに背が高かったかな、と顔を上げるとそこにいつもの丞はいなかった。
「『やっとあなたとふたりきりになれた。私がどれほどこの瞬間を待ちわびたか、あなたには分からないでしょう』」
「……えっ」
なんだこの顔は。声は。
いつもの険しい表情とは真逆の蕩けるような熱い視線を目の当たりにして、意味も分からずどきどきしてしまう。
肩に優しくのせられた両手から丞の体温が伝わってくる。静かな廊下で、自分の心臓の音だけがうるさい。 目を逸らそうと思っても、金縛りにあったみたいに動けなかった。
「『あなたの心はすでにあの方のもの。私が出る幕などありません。しかし、あなたへの愛は日々募るばかり。お願いです。今この瞬間だけは、私だけのあなたでいてほしい』」
芝居の時は声音まで変えるのだろうか。こんな低い声で囁かれるのはまずい。うっとりと聞き入ってしまうような声と丞の演技に引きずられて、自分まで恋に落ちている気分になってしまう。
丞のことを、そういう目で見たことはないのに。
紬の幼なじみで、友人で。無愛想で堅物で冗談の通じない演劇馬鹿。恋をする異性として、意識したことなどなかった。
「『あなたが私の気持ちをご存じないのも無理からぬことです。ずっとこの胸に秘めておりましたから。でも、今日こそはあなたに伝えようと決心したのです。どうか、この無礼をお許し下さい』」
両肩から丞の手が離れ、ようやく演技が終わるとほっとした瞬間。
丞の透き通ったすみれ色の瞳が下りてきた。
これは、つまりそういう展開なのか。ぎゅっと目をつむり、これは演技なんだからと必死で自分に言い聞かせる。
――しかし、いつまで経っても期待した感触はない。
いや、別に期待などしていないけれど、あの雰囲気はどうみてもキスする流れだった。
ゆっくり目を開けると、丞が片手を額に当てて俯いている。
「ちょっと、どうしたの? 大丈夫?」
「……茅ヶ崎、お前無防備すぎるだろう」
「え? なんで私が怒られるの?」
勝手に演技を始めて、あんな恥ずかしい台詞を囁いて、至の心を惑わせたのは丞だ。自分はただ立っていただけなのに、何故怒られなければいけないのか。
「少しは抵抗しろ」
「できるわけないでしょ! 丞、知らない人みたいだし、声もいつもと全然違うし。なんか本当に告白されてる気になっちゃうし……なんでそんなに演技上手いの?!」
「演技じゃない。全部本心だ」
静かな廊下に丞の声が響いた。
至をまっすぐ見つめるその顔はひどく真剣で、冗談を言っているようには思えない。
この視線、苦手だ。背中にびりっと電気が走ったみたいになって動けなくなる。
うまく息ができない。苦しい。
こんな目で見られるなんて、怖い。
「ほ、本心って……」
「そのままの意味だ。俺の台詞聞いてなかったのか?」
聞いてましたとも。はっきりと。それはもう脳に焼き付くほどの強烈さで。甘い言葉の数々がいまでも頭の中で反響して、その意味を必死で捕らえようとしている。
日々募る愛。ずっと胸に秘めていた思い。丞の本心。
それらから導き出される答えはただひとつだ。
「丞、私のこと好きなの?」
ようやく気づいたかとでも言いたげに丞が大きなため息をつく。
「まあ、そうなるな」
「なんで?」
今までそんな素振りを微塵も見せなかったくせに、いきなりこんな告白をされて、どうしたらいいのか分からない。好き。丞は私のことを好き。頭で何度繰り返してもそんなこと、信じられない。
紬と三人でいる時だって至にはどこかそっけなかった。嫌われるのかなと思ったこともあるくらいだ。
「なんでって……お前だらしないだろ」
「は?」
好きと言われた後に、今度はだらしないと貶されるとは思わなかった。本当は私のこと嫌いなんでしょ、と突っ込みたくなる。
丞の言いたいことが全く理解できない。
ぽかんとする至を無視して丞はさらに言葉を続ける。
「素のお前はだらしなくて、口が悪くて、がさつで女らしいところが何ひとつないのに、」
「え、なんかすごいディスられてない?」
「……いいから最後まで聞け。自分の部屋もろくに片付けられないくらいずぼらなのに、学校では完璧な美少女を演じてるだろう。その努力、というか意思の強さに惹かれた。ずっと、中学の頃から好きだった……これで納得できるか?」
納得できるかと訊かれて、どんな反応をすればいいのか。はいそうですか、とでも言えばいいのだろうか。展開が急すぎてついて行けない。
なんとか深呼吸して、何故こんなに動揺しているのか考える。
友達だと思っていた丞に告白されたから。もちろんそれもある。しかし、一番の原因はこれが至にとって生まれて初めて経験する異性からの告白だからだ。
このキャラを作る前はいじめられっ子で、その後は遠巻きに見られる美少女。憧れるけど恋をする対象ではない。学校という無機質な場所を彩る花のようなもので、綺麗だけれど誰も花と付き合おうとは思わないだろう。近づけば冷たい視線で一蹴され、触れれば棘に刺さって身を痛める。至が作ってきたキャラはそういう女の子だ。だから同級生は一定の距離を保って至と接し、必要以上に深く迫ってこなかった。
丞だけだ。
丞だけがこんな焦がれるような目で至を見て、信じられないくらい近くまで踏み込んできた。
――運命の人は意外に近くにいるかもしれませんよ。
今朝、綴に言われた言葉にはっとする。あいつ、なんであんなこと言ったんだろう。朝からずっと疑問に思っていたが、靄のかかった視界が急にひらけるように思考がクリアになる。
「まさか、知らなかったの私だけ、とか……?」
「俺がお前を好きなことは、紬も皆木も摂津も中学の頃から知ってるぞ」
何を当たり前のことを言ってるんだとばかり、妙な自信に溢れて丞が言った。
マジかよ。あいつら全員知ってたのかよ。綴のことを鈍感なんて言ってた自分が恥ずかしい。一番鈍くて何も知らなかったのは至で、そんな状況で臣に片思いしていたのだ。無理、恥ずかしい。恥ずかしさで人は死ねる、ということを身をもって知った。
「綴と万里はあとでシメる……ってか、なんで言ってくれなかったの? 言うのは難しくても、普段の言動とかさ、もっと分かりやすくしてくれると私も気づけたっていうか……」
「伏見に夢中だったくせに」
痛いところを突かれて何も言い返せない。
まさしく丞の言うとおりで、学校では臣のことばかり目で追っていたし、丞たちと話すときもひらすら臣の素晴らしさを語っていた。気持ち悪いほど細かく臣の容姿や性格を語る至を見て、三人はどう思っていたのだろう。想像すると居たたまれなくなる。
「それに、」
と丞がどこか言い辛そうに口ごもる。
片手に口を当ててなかなか続きを言い出さないので、「それに、なに?」と至が促すと、
「顔が緩まないように必死なんだ。茅ヶ崎と話してるとにやけてるって紬が言うから、顔面に力を入れないと格好がつかない」
先ほどまでの王子様オーラはどこへ行ったのか。
頬をほんのり紅く染めてた丞は、あんなに熱烈な愛の台詞を吐きながら至に迫ってきた男と本当に同一人物なのか。
芝居をしている時としていない時の差が激しすぎる。丞の照れた顔にあてられて、至まで顔が熱くなってきた。
ずっと睨まれてたと思っていたのは勘違いで、至の前で冷静になろうとした結果、あのコンクリートみたいな堅物の顔が生まれたらしい。不器用すぎるにもほどがある。
昨日、下駄箱で待ち合わせした時のぶすっとした丞の顔を思い出す。あの顔の下でどんなことを思っていたんだろう。
至の心の奥で、自分でも分からないほど小さな波が揺れる。
「丞、あのさ」
「今言ったことは忘れてくれ。お前は伏見のことが好きなんだし、困らせるために言ったんじゃないから」
自分の話は最後まで聞けと言ったくせに。至の言葉を遮って丞はそう言うと、ひとりですたすたと前を歩き出した。
その後ろ姿が、この話はもう終わりだ、と告げていた。
演技にのせていきなり至に告白して、人の心をかき乱して、返事も聞かず勝手に行ってしまうのか。
丞と向き合いたい。そう思って走って丞に追いつくと、つま先で床がきゅっと鳴った。シャツの袖を掴んで至のほうへ無理矢理振り向かせる。
「臣のことは諦めたから。諦めるっていうとちょっと違うけど、典型的な恋に恋して、憧れを恋と勘違いしていただけで、恋愛だったかというとそうじゃないかなって思う。学校で周りが私を見るみたいな感じ。近づかないで遠くから見てれば幸せっていうか、満足っていうか。私の言ってる意味、分かる?」
ここまで一息に言うと、口に出した言葉のひとつひとつに深く頷く自分がいた。
憧憬。そうだ、そういうことだ。転校初日に至に向けられた笑顔。教室での会話。一歩引いている同級生たちの中で、自然体で接してくれたことが嬉しかったのだ。
「じゃあ、もう好きじゃないのか?」
「恋愛的な意味では、ね」
「そうか。そういうことなら……俺も本気でいくからな」
にやり、と口の端をあげて丞が笑った。
お腹を空かせた獣だ。そんなイメージが頭の中に浮かぶ。さしずめ至は罠にかかった弱々しい獲物。一度は見逃してくれたのに、自分から飛び込んで行ってしまった。
王子様を演じた時の優しさも、照れた時の少年のような無邪気さも脱ぎ捨てた丞を前にして、至は再び動けなくなった。弁当箱を入れた袋と鞄を持つ手にぎゅっと力が入る。
至が追いかけて来ることを見越してたのだろうか。まずい。これは非常にまずい。と、頭の中で警戒音が鳴り、赤いランプがちかちかと瞬いて、これ以上近づいてはいけないと警告する。
丞の手がふわりと至の髪を掬って、耳元が露わになる。
「『至、覚悟しろよ』」
もうどこまでが演技でどこまでが素の丞なのか分からない。
真っ赤なランプがずっと光っている。
なんて危険な色なんだろう。
丞は、虹色でも薔薇色でもない世界に、至の心を丸ごと攫ってしまったのだ。
逃げられない。
甘く響く丞の声を聞きながら、至は膝から崩れ落ちないようにするのが精一杯だった。
いまなら他カプ要素は絶対に入れないので読み返してみてなんだか不思議な感じでした。
丞と紬がラブレターを交換するシーンがお気に入りです。